2018年03月02日

働き方改革関連法案

働き方改革関連法案は、裁量労働制について厚生労働省が示した不適切なデータにより、政府は、裁量労働制は分離して今国会での成立を目指すようです。
この法律案要綱の答申は、平成29年9月15日に発表されています。
   http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177380.html

◎長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
◯労働時間に関する制度の見直し
・時間外労働の上限 
  原則 月45時間・年360時間
 臨時的・特別な事情がある場合の限度
  年720時間・単月100時間未満(休日労働含)
  複数月平均80時間(休日労働含)
・月60時間を超える時間外労働の割増率(50%以上) 
  中小企業への猶予措置を廃止
・年次有給休暇の5日について
 毎年、時季を指定して与えなければならない
・企画業務型裁量労働制の対象業務への「課題解決型の開発提案業務」と「裁量的にPDCAを回す業務」の追加と、高度プロフェッショナル制度の創設等を行う

◎雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
◯不合理な待遇差を解消するための規定の整備
・パート労働者や有期雇用約労働者に関する正規労働者との不合理な待遇の禁止
 派遣労働者の派遣先の労働者との均等・均衡待遇等の確保を義務化
・労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
 パート労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化

この裁量労働制の拡大が問題になっていますが、まず、現在の裁量労働制を理解する必要があります。
2017年8月3日のブログに載せましたが、

(厚生労働省HP、東京労働局パンプレットから)
専門業務型裁量労働制
 業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要 がある業務として、法令等により定められた19業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度
 ・新商品、新技術の研究開発
 ・証券アナリスト
 ・公認会計士、弁護士     等
企画業務型裁量労働制 
 事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査及び分析を 行う労働者を対象とし、その事業場に設置された労使委員会で決議された時間を労働したものとみなすことができる制度

 現在でも労使協定の締結・届出、労使委員会を設置し決議するなど導入にはかなりハードルが高い制度です。中小零細企業で導入するのはかなり難しいと思います。

 それよりも働き方改革関連法案の中では、月60時間を超える時間外労働の割増率が50%以上になること、有給休暇のうち年5日は、必ず指定して与えなければならないこと。この2点については、施行に向けて準備をしておかなければならないことだと思います。
 また、不合理な待遇差を解消するために規定の整備がいわゆる「同一労働同一賃金」のことです。非常にあいまいな内容なので、何が不合理な待遇差となるのか、今後の省令等で確認するとともに、不合理な待遇差と思われるものがないか、確認していく必要があります。
posted by あさ at 11:35| 労働時間

2018年02月12日

副業・兼業の促進

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」およびそのQ&A、モデル就業規則が厚生労働省から公開されました。 経済産業省の委託調査から回答者の約3分の2が「副業を認めない会社(経営者)に魅力を感じない」としているそうなので、優秀な人材を呼び込む観点からも、副業・兼業に対する柔軟な姿勢が求められるのかもしれません。

ガイドライン 
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf
Q&A 
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000193040.pdf
モデル就業規則
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

しかし、安易に認めることには注意が必要です。一番の問題は、労働時間の管理です。
労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と規定されており、「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含みます。(労働基準局長通達(昭和23年5月14日基発第769号))
 通算して1日8時間の法定労働時間を超えた場合、割増賃金の支払いは、法定労働時間を超えて労働者を労働させるに至った使用者です。
 例えば、A事業所で1日4時間働いて、自社であるB事業所で5時間働くと、通算すると9時間ですから、自社では8時間超えていなくても1時間分の割増賃金の支払いが必要です。
 副業・兼業を認める場合は、通算して1日8時間を超えない範囲で届出・許可制にする等ルール作りから始める必要があります。それと合わせて多様で優秀な人材を集めるための自社のアピールポイントは何か、何を改革しないといけないのかも考える必要があるのではないでしょうか。
posted by あさ at 18:34| 労働時間

2018年01月02日

平成30年 明けましておめでとうございます

 平成も30年となり、当時の小渕内閣官房長官が「平成」という書を掲げた姿をテレビで見たのは、随分前だったんだなと思い起こします。当時は、漫画の世界だった人工知能AIが私たちの生活や仕事にも影響を及ぼすようになってきました。
 厚生労働省の労働政策審議会でも「技術革新(AI等)の動向と労働への影響」をテーマに昨年7月から議論がスタートし、12月25日に第4回まで開催されています。厚生労働省を始めとし、いくつかの研究機関の先行研究では、代替可能性の高い(今後減少する)仕事の例として、ホワイトカラーやルーティン業務、代替可能性の低い(今後増加する)仕事の例として、他者との協調や他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業、人が直接対応することが質・価値の向上につながるサービスに係る仕事などが上げられてます。

 私たち社会保険労務士は、まさに『他者との協調や他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業』です。AIに取って変わられることのないよう、より質や価値が向上するよう、今年も「犬馬の労」を尽くすつもりです。

 本年もよろしくお願い申し上げます。
 
−犬馬の労−
主君や他人のために力を尽くして働くことをへりくだっていう語
posted by あさ at 23:56| ご挨拶

2017年12月01日

RJパトロール!

厚生労働省から平成29年11月10日に以下のような発表がありました。
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「労働条件(RJ)パトロール!」が提供開始されます               
〜労働関係法令学習用スマートフォンアプリ〜

 厚生労働省は、学生や就労経験の浅い若者等が、労働条件に関する法律の知識について、クイズを通して学習することができる、スマートフォンアプリ『労働条件(RJ)パトロール!』を作成しました。App Store(iPhone)及びPlayストア(Android)にて提供が開始されます。
 
 このアプリには、個性豊かなキャラクターと一緒に架空の会社をパトロールして、労働環境の問題点を見つけ出すクイズや、労働関係法令に関する情報の閲覧や労働条件に関する相談窓口の連絡先を確認する等の機能が付与されています。

1 スマートフォンアプリ『労働条件(RJ)パトロール!』
(ポータルサイト「確かめよう労働条件」 http://www.check-roudou.mhlw.go.jp のトップページにバナーを掲載しています。) 
※委託事業:受託者は株式会社廣済堂

2 提供開始日 平成29年11月10日 午後2:00

3 主なコンテンツ
・クイズ機能
 個性豊かなキャラクターと一緒に労働環境に問題のある架空の会社をパトロールし、労働法令の違反に該当する台詞を見つけだします。全6章の会話形式のストーリーを楽しみながら労働関係法令を学習できます。
・関係法令一覧
 クイズ機能と連動し、関係のある法令を一覧で紹介します。関連法令の一覧からは労働条件ポータルサイト(「確かめよう労働条件」)を参照することができ、最新の関連法令に関する情報を確認することができます。
・相談機関・窓口紹介
 都道府県労働局・労働基準監督署及び総合労働相談コーナー、労働条件相談ほっとライン、労働基準関係情報メール窓口を紹介しています。労働に関わる各種相談機関の情報をスマートフォンアプリから手軽に調べることができます。
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 私もダウンロードしてみました。アルバイト先や就職した会社でよくあるような会話形式で進められていて、その会話の中の会社側の発言の違法性とその根拠が、クイズに答えながら解説されています。
 売り手市場の中、労働者から選ばれる企業になるために、他社よりも有利な条件としてアピールするのは賃金ではなく、法令遵守をもとに、いかに働きやすい環境なのかが求められています。




posted by あさ at 18:51| 採用

2017年11月03日

知っていますか? 新卒採用に役立つ「ユースエール認定制度」

◆2018年卒業予定者の内定率は80%超
9月中旬に株式会社マイナビが公表した調査結果で、2018年卒業予定の大学生・大学院生の8月時点の内々定率は82.7%と、前年同月比で5.2ポイント上回りました。中でも、理系院生の内々定率は94.5%、理系男子で89.6%、理系女子で87.6%と、非常に高い結果となりました。
しかし、未内定者も含めて約3割が「就職活動を継続する」と回答しており、多くの企業が内定式を行う10月を過ぎた今も、就職活動を続けている学生がいます。

◆学生は「個人の生活と仕事を両立させたい」
株式会社ディスコが行った「大学生就職意識調査」の結果によれば、「楽しく働きたい」(29.7%)、「個人の生活と仕事を両立させたい」(26.2%)、「人のためになる仕事をしたい」(16.1%)と答えた学生が多く、特に「個人の生活と仕事を両立させたい」は、他の2つと異なり前年比でポイントを伸ばしています。
また、例年より大手志向の学生が多く、中小企業では予定採用数に達していないところが多くあると見られています。

◆中小企業のための「ユースエール認定制度」
この制度は、大手企業より不利とされる中小企業の採用活動を支援するため、2015年10月に施行された若者雇用促進法に基づき、若者の採用・育成に積極的で雇用管理の状況などが優良な中小企業を、国が認定するものです。
認定企業のメリットとして、(1)ハローワークで重点的にPRしてもらえる、(2)若者雇用促進総合サイトで紹介される、(3)認定企業限定の就職面接会に参加できる、(4)キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金・トライアル雇用助成金の助成額がアップされる、(5)日本政策金融公庫の低利融資が受けられる、などがあります。

◆他企業との差別化に有効?
今年8月末時点の認定企業数は全国で232社とまだまだ少ないことから、今のうちに認定を受ければ、他社よりも「ワークライフバランス重視の企業」と学生に感じてもらえるかもしれません。ただし、認定を受けるには所定外労働時間数や有給取得率で一定の要件を満たしていること、人材育成の仕組みが整っていること等が求められます。
若手の採用や定着率アップに取り組みたいと考えている場合は、認定を受けることも検討してみてはいかがでしょうか?

★★★★★★★★★★★★

「ユースエール認定企業」(労働者数300人以下)の認定基準は、
◯直近3事業年度の
・新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下(採用者数が3人または4人の場合は、1人以下)
・男性労働者の育児休業等取得者が1人以上または女性労働者の育児休業等取得率が75%以上(取得対象者がいない場合は、育休制度が定められていれば可)
◯前事業年度の
・正社員の月平均所定外労働が20時間以下かつ、月平均法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないこと
・正社員の有給休暇の取得率が平均70%以上または年間取得日数平均10日以上
などの要件を全て満たしていることが必要です。

ユースエール認定制度の詳しい説明は、
【ユースエール認定制度について】
 https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=9&n=29

自社の雇用管理の状況を把握し、認定基準に満たない部分を明確にするためには、
【ユースエール認定到達度診断】
 https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=8&n=29

中小零細企業では、無理と思うかもしれませんが、若年層の労働力人口が減少していく中、選ばれる企業になるためにも労働環境を整備することは、大変重要になっています。

posted by あさ at 20:55| 採用