2022年07月02日

労災を使うと保険料が上がる?

労災を使うと保険料が上がるという声をよく聞きますが、保険料率が変わるのは、メリット制に該当している場合だけです。
メリット制とは、下のように、一定規模以上の事業が該当しますので、小規模な事業所では該当しません。
万が一労災事故が起こった場合は、適切に労災の申請をした上で、今後の事故防止に努めましょう。
メリット制に該当してしている場合の保険料率は、+40%から−40%です。+になるほど労災事故が多かったり、労災による休業が長かったということですから、毎年のメリット料率を確認して、労災事故防止により一層努めていきましょう。
なお通勤災害はメリット料率には影響しませんが、会社は通勤災害防止についても従業員に注意喚起することは大切です。

メリット.jpg
posted by あさ at 19:08| 労災保険

2022年06月12日

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が令和4年10月に迫っています。

ウイズ・コロナにおける感染対策を適切に講じつつ、社会経済活動も進んでいますが、まだまだ影響がある企業もありますし、回復傾向にあった企業でも、昨今の原材料高に先行きが見えなくなり、円安やロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、景気回復が減速したり後退したりする心配が大きくなっています。
まだまだ厳しい企業運営の中、令和4年10月からは、常時100人を超える事業所で短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されます。

1.週の所定労働時間が20時間以上
2.賃金月額88,000円以上
3.継続して2か月を超えて使用される見込み
4.学生ではないこと

企業側が、社会保険料負担を免れるため一方的に9月30日で雇用契約を終了させることは、解雇となり無効となる可能性が高いです。パートタイマーである従業員側にも希望があると思います。法律改正に伴う制度内容の変更点等も含め、社会保険加入のメリットやそれに伴う働き方の変化について、事業主が従業員に早めに説明し、納得して就業できるようにすることが、とても大切です。
posted by あさ at 20:42| 社会保険

雇用調整助成金の特例措置は令和4年9月末まで延長予定

令和4年6月30日までとされていた雇用調整助成金等・休業支援金等、小学校休業等対応助成金・支援金は、令和4年9月30日まで延長される予定であることが、令和4年5月31日に厚生労働省から発表されました。
助成内容は、令和4年6月30日までと同じです。


『雇用調整助成金』
新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するもの。
『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』
新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置の影響により休業させられた労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった人に対し、支給。
『小学校休業等対応助成金』(労働者を雇用する事業主向け)
『小学校休業等対応支援金』(委託を受けて個人で仕事をする人向け)
新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるをえなくなった保護者を支援するため。
posted by あさ at 20:38| 新型コロナウイルス

2022年05月21日

令和4年度雇用保険料率変更の詳細とは

令和4年度の雇用保険料率は、年度途中の10月からも変更になります。
この雇用保険料率は、「失業等給付・育児休業給付」「雇用保険二事業」の2つの保険料率から成っていて、「失業等給付・育児休業給付」は労使折半で、「雇用保険二事業」 は事業主のみが負担します。
「雇用保険二事業」とは、失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発等に資する雇用対策に関して、@ 雇用安定事業 A 能力開発事業を行い、雇用安定事業の中で雇用調整助成金が事業主に支払われています。
「雇用保険二事業」は事業主の保険料のみを原資にしていて、国庫負担はありません(税金は投入されていない)。
しかし、新型コロナウイイルス感染症等の影響に対応するため、令和2・3年度の措置として、一般会計から、失業給付の積立金と雇用安定事業の費用に繰り入れることができるようになり、失業給付の積立金から、育児休業給付と雇用安定事業の経費が借り入れられるようになっていました。それにより休業手当を受け取っていない中小企業労働者へ直接給付したり、雇用保険の基本手当の給付日数を延長したりという措置が取られています。
雇用保険臨時特例法が終了した令和4年度は、4月からまず「雇用保険二事業」の保険料率が、3.5/1000(←3/1000)建設4.5/1000(←4/1000)となりますので、事業主だけが上がります。10月から「失業等給付・育児休業給付」の保険料率が、10/1000(←6/1000)建設、農林水産・清酒製造12/1000(←8/1000)労使折半ですので、労働者負担が5/1000(←3/1000)建設等6/1000(←4/1000)となります。
今回は、数字ばかりの話になりましたが、保険料率変更の背景には、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく出ていることがわかります。

雇用保険料率.jpg
posted by あさ at 20:50| 雇用保険

2022年04月10日

令和4年度の法改正

新年度が始まりました。
令和4年度に施行される厚生労働省関係のおもな改正点は以下の通りです。

○職場におけるパワーハラスメント防止措置
令和4年4月〜
職場におけるパワーハラスメントを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置を中小企業にも義務化

○女性活躍推進法
令和4年4月〜
一般事業主行動計画策定・届出、情報公表等が101人以上300人以下の企業にも拡大

○育児介護休業法
令和4年 4月〜
・有期雇用労働者の育児介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件を廃止
・育児休業制度等の個別の周知と意向確認、育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け
令和4年10月〜
・産後パパ育休の創設
・育児休業の分割取得(2回まで)を可能とする

○雇用保険料率の変更
※令和4年 4月〜
・一般の事業 
労動者−0.3%(変更なし)
事業主−0.65%(←0.6%)
・建設の事業
労動者−0.4%(変更なし)
事業主−0.85%(←0.8%)
・農林水産・清酒製造
労動者−0.4%(変更なし)
事業主−0.75%(←0.7%) 
※令和4年10月〜
・一般の事業
労動者−0.5%
事業主−0.85%
・建設の事業
労動者−0.6%
事業主−1.05%
・農林水産・清酒製造
労動者−0.6%
事業主−0.95%

○年金制度
・在職老齢年金制度の見直し
60歳から64歳に支給される在職老齢年金の支給停止基準額を28万円から47万円に引き上げ
・繰り下げ受給の上限年齢の引き上げ
上限年齢を70歳から75歳に引き上げ
・繰り上げ受給の減額率の見直し
1ヶ月あたり0.5%から0.4%に変更
・年金手帳の廃止
「基礎年金番号通知書」を発行

今年度は、雇用保険料率が年度の途中で変わりますので、給与からの控除と労働保険料の賃金集計の際に注意が必要です。令和4年度の労働保険料年度更新申告書の書き方は、すでに公開されていますので、合わせて確認してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html
posted by あさ at 19:39| 法改正全般