令和5年4月1日から中小企業に猶予されていた月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を「5割以上の率」とする規定が全企業に適用されます。「5割以上」ですから多くの企業が50%とすると思われます。
現状月60時間を超える時間外労働がある企業は、令和5年4月1日から発生する時間外労働については割増賃金率が50%となります。法定時間外労働は、1ヶ月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合42時間)1年360時間(同320時間)が上限ですから、1ヶ月60時間を超える時間外労働がある会社はすでに特別条項付きの36協定の締結をしていると思います。
特別条項付きの36協定は、限度時間を超えた労働にかかる割増賃金率を25%以上と定める必要があるため多くの会社は法定の25%として記載をしていると思います。1ヶ月60時間を超えると50%になりますが、まだ厚生労働省から書式の変更についての公表はありません。1月1日からだったり、20日締めの会社で12月21日からだったり、来年4月1日を挟んだ36協定の締結があると思います。36協定は、届け出時の法令で問題ないため、現状のままでも構いませんし、わかるように記載してもいいと思います。
「賃金の決定、計算及び支払の方法」は就業規則の絶対的必要記載事項になるため、就業規則の改定も必要になります。
給与の締め日が例えば20日締めだと締め日の途中で計算を変えることは難しいでしょうから令和5年3月21日から発生した時間外労働から変更する必要があるでしょう。
1ヶ月60時間を超える時間外労働について50%の割増賃金の支払に代えて代替休暇を与えることもできますが、労使協定の締結、就業規則の改定が必要です。中小企業への導入は少しハードルが高いかなと思います。
生産性を向上させ、労働時間の縮減等に取り組む中小事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する「働き方改革推進助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」は多くの利用があったため、申請と予算残額の状況を踏まえ、令和4年度の交付申請の受付は、令和4年10月4日に一旦受付が停止されています。
割増賃金率が2倍ですので、当然人件費が増大します。時間外労働の削減には、人員を増やす、業務を効率化するなど取り組むべきことがあります。残り3ヶ月間ですので先送りはできません。具体的に進める必要があります。
2022年12月26日
令和5年4月1日から中小企業も月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%に
posted by あさ at 16:53| 賃金
2022年11月27日
令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
令和4年10月28日に「令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置等について」厚生労働省から発表がありました。
新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の特例措置について、令和4年12月〜令和5年3月までの助成内容は、
○中小企業の原則的な措置
令和4年10月〜11月
4/5(解雇等行わない場合9/10)、上限8,355円
↓
令和4年12月〜令和5年3月
2/3、上限8,355円
なお、令和5年4月以降の取扱いについては、新型コロナウイルス感染症の感染状況や雇用情勢を踏まえながら検討の上、改めてお知らせするとのことです。
2022年10月22日の日本経済新聞に以下のような記事が出ていました。
『事業主が従業員に支払った休業手当を国が補塡する雇用調整助成金について、2020年度以降に支給決定を受けた138事業主の約219億円を会計検査院が抽出調査したところ、25事業主の計約17億円分が実際に支払われた休業手当よりも多かったことが22日までに分かった。
雇調金を算定する支払率の対象賃金の範囲が定まっておらず、算定方法にずれが生じていたことが要因。検査院は助成金の趣旨に沿わない支給だとして、厚生労働省に算定方法の見直しの必要があるなどと意見を示した。 』
従業員の数が概ね20人以下の小規模事業主は実際に支払った休業手当から助成額が決まりますが、小規模事業主を除く中小企業事業主や大企業事業主は、一人一人に支給した休業手当の額ではなく、労働保険確定保険料申告書または所得税徴収高計算書から平均賃金額が決まり、その平均賃金額をもとに助成額を計算しますので、差が生じます。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた企業にとっては、従業員の雇用を守るために雇用調整助成金は意義のある制度だったと思いますが、会社が利益を得るための制度ではないことに当然ですが、理解が必要です。
新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の特例措置について、令和4年12月〜令和5年3月までの助成内容は、
○中小企業の原則的な措置
令和4年10月〜11月
4/5(解雇等行わない場合9/10)、上限8,355円
↓
令和4年12月〜令和5年3月
2/3、上限8,355円
なお、令和5年4月以降の取扱いについては、新型コロナウイルス感染症の感染状況や雇用情勢を踏まえながら検討の上、改めてお知らせするとのことです。
2022年10月22日の日本経済新聞に以下のような記事が出ていました。
『事業主が従業員に支払った休業手当を国が補塡する雇用調整助成金について、2020年度以降に支給決定を受けた138事業主の約219億円を会計検査院が抽出調査したところ、25事業主の計約17億円分が実際に支払われた休業手当よりも多かったことが22日までに分かった。
雇調金を算定する支払率の対象賃金の範囲が定まっておらず、算定方法にずれが生じていたことが要因。検査院は助成金の趣旨に沿わない支給だとして、厚生労働省に算定方法の見直しの必要があるなどと意見を示した。 』
従業員の数が概ね20人以下の小規模事業主は実際に支払った休業手当から助成額が決まりますが、小規模事業主を除く中小企業事業主や大企業事業主は、一人一人に支給した休業手当の額ではなく、労働保険確定保険料申告書または所得税徴収高計算書から平均賃金額が決まり、その平均賃金額をもとに助成額を計算しますので、差が生じます。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた企業にとっては、従業員の雇用を守るために雇用調整助成金は意義のある制度だったと思いますが、会社が利益を得るための制度ではないことに当然ですが、理解が必要です。
posted by あさ at 18:21| 新型コロナウイルス
2022年11月03日
令和4年10月からの変更事項(パート社会保険適用拡大、雇用保険料率変更、最低賃金改定、アルコール検知器適用延期)
令和4年10月からの変更事項
●短時間労働者の社会保険適用拡大
従業員101人以上
@週所定労働時間20時間以上
A月額賃金8.8万円以上
B2カ月超雇用見込みがある
C学生ではない
●雇用保険料率変更
一般の事業−社員負担0.5%
建設の事業−社員負担0.6%(農林水産・清酒製造も同じ)
●最低賃金改定
愛知県986円(←955)
三重県933円(←902)
岐阜県910円(←880)
静岡県944円(←913)
●安全運転管理者による運転者の運転前後のアルコールチェックの義務化
一定台数(乗車定員が11人以上の自動車1台またはその他の自動車5台)以上の自動車の使用者は、事業所ごとに安全運転管理者の選任を行わなければならない。
<令和4年4月1日施行>
・運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより運転者の酒気帯びの有無を確認すること
・酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
<令和4年10月1日施行>
・運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコール検知器を用いて行うこと
・アルコール検知器を常時有効に保持すること
⇒当分の間適用しない
社会保険の適用拡大はパート社員の理解を得ることが難しい面もあると思います。厚生労働者の社会保険適用拡大特設サイトには「パート・アルバイトのみなさまへ」「配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ」”あなたの年金・医療保険が変わる大切なお知らせです。”と9分半くらいの動画で説明しています。年金額・保険料シミュレーションも載っていますので、参考にしてみるといいでしょう。将来の年金額という未来のことはイメージしにくいかもしれませんが、健康保険にも加入しますので、例えば、コロナ陽性で会社を休み、賃金が支給されないとき、健康保険の傷病手当金の申請ができます。配偶者の健康保険の扶養に入っている人がパート勤務を休んでも傷病手当金の保障はありませんので、その点も安心です。パート社員には丁寧な説明が必要です。
雇用保険料率変更は、10月分給与を11月に支払う場合(例:10/末締・11/20支払)は、今月11月に支払う給与から料率を変更してください。(労働保険料申告も発生月ベースで申告している場合)
アルコールチェッカーによる検査の義務化については、品切れで手に入らなかった会社が多かったと思いますが、最近のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ当面の間延期されました。しかし、目視等で確認し、記録を残すことは必要ですので、トラック運転者等ではない営業等の社員であっても自動車を使用する者については、飲酒運転根絶の取り組みは重要です。
●短時間労働者の社会保険適用拡大
従業員101人以上
@週所定労働時間20時間以上
A月額賃金8.8万円以上
B2カ月超雇用見込みがある
C学生ではない
●雇用保険料率変更
一般の事業−社員負担0.5%
建設の事業−社員負担0.6%(農林水産・清酒製造も同じ)
●最低賃金改定
愛知県986円(←955)
三重県933円(←902)
岐阜県910円(←880)
静岡県944円(←913)
●安全運転管理者による運転者の運転前後のアルコールチェックの義務化
一定台数(乗車定員が11人以上の自動車1台またはその他の自動車5台)以上の自動車の使用者は、事業所ごとに安全運転管理者の選任を行わなければならない。
<令和4年4月1日施行>
・運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより運転者の酒気帯びの有無を確認すること
・酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること
<令和4年10月1日施行>
・運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコール検知器を用いて行うこと
・アルコール検知器を常時有効に保持すること
⇒当分の間適用しない
社会保険の適用拡大はパート社員の理解を得ることが難しい面もあると思います。厚生労働者の社会保険適用拡大特設サイトには「パート・アルバイトのみなさまへ」「配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ」”あなたの年金・医療保険が変わる大切なお知らせです。”と9分半くらいの動画で説明しています。年金額・保険料シミュレーションも載っていますので、参考にしてみるといいでしょう。将来の年金額という未来のことはイメージしにくいかもしれませんが、健康保険にも加入しますので、例えば、コロナ陽性で会社を休み、賃金が支給されないとき、健康保険の傷病手当金の申請ができます。配偶者の健康保険の扶養に入っている人がパート勤務を休んでも傷病手当金の保障はありませんので、その点も安心です。パート社員には丁寧な説明が必要です。
雇用保険料率変更は、10月分給与を11月に支払う場合(例:10/末締・11/20支払)は、今月11月に支払う給与から料率を変更してください。(労働保険料申告も発生月ベースで申告している場合)
アルコールチェッカーによる検査の義務化については、品切れで手に入らなかった会社が多かったと思いますが、最近のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ当面の間延期されました。しかし、目視等で確認し、記録を残すことは必要ですので、トラック運転者等ではない営業等の社員であっても自動車を使用する者については、飲酒運転根絶の取り組みは重要です。
posted by あさ at 20:56| ご挨拶
2022年09月04日
令和4年度最低賃金−すべての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました
令和4年8月23日に、すべての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされたことが厚生労働省から発表されました。
8月2日に公表された目安では30円〜31円の引き上げでしたが、昨今の物価上昇や大都市圏との差を勘案して30円〜33円の引き上げとなり、47都道府県のうち22道県が目安より1円〜3円引き上げました。全国加重平均は昨年の930円から961円となり、31円の引き上げは昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。
Aランク(目安30円引き上げ)
*目安と同じ
東京都
1,072←1,041
神奈川県
1,071←1,040
大阪府
1,023←992
愛知県
986←955
Bランク(目安31円引き上げ)
*目安と同じ
静岡県
944←913
三重県
933←902
Cランク(目安30円引き上げ)
*目安と同じ
岐阜県
910←880
Dランク(目安30円引き上げ)
*目安より3円引き上げ
沖縄県・高知県
853←820
*目安より2円引き上げ
愛媛県・佐賀県・長崎県・熊本県・宮崎県・鹿児島県
853←821
*目安より1円引き上げ
青森県・秋田県
853←822
答申された改定額は、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定ですので、10月分給与には注意が必要です。
8月2日に公表された目安では30円〜31円の引き上げでしたが、昨今の物価上昇や大都市圏との差を勘案して30円〜33円の引き上げとなり、47都道府県のうち22道県が目安より1円〜3円引き上げました。全国加重平均は昨年の930円から961円となり、31円の引き上げは昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。
Aランク(目安30円引き上げ)
*目安と同じ
東京都
1,072←1,041
神奈川県
1,071←1,040
大阪府
1,023←992
愛知県
986←955
Bランク(目安31円引き上げ)
*目安と同じ
静岡県
944←913
三重県
933←902
Cランク(目安30円引き上げ)
*目安と同じ
岐阜県
910←880
Dランク(目安30円引き上げ)
*目安より3円引き上げ
沖縄県・高知県
853←820
*目安より2円引き上げ
愛媛県・佐賀県・長崎県・熊本県・宮崎県・鹿児島県
853←821
*目安より1円引き上げ
青森県・秋田県
853←822
答申された改定額は、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定ですので、10月分給与には注意が必要です。

posted by あさ at 19:21| 賃金
2022年08月19日
令和4年度地域別最低賃金額改定の目安が公表されました。
令和4年8月2日に、令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について公表されました。
都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を提示しています。
<一部抜粋>
○Aランク(31円引き上げ)
東京都 1,041→1,072
神奈川県 1,040→1,071
大阪府 992→1,023
愛知県 955→986
○Bランク(31円引き上げ)
静岡県 913→944
三重県 902→933
○Cランク(30円引き上げ)
岐阜県 880→910
○Dランク(30円引き上げ)
沖縄県・高知県 820→850
令和4年度の最低賃金額が発効となるのは10月ですが、ほとんど目安額通りに決まっています。
令和4年10月からは、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大も始まります。
現在の時給が、最低賃金以下になっていないか、パート社員が社会保険の加入対象になるのか、加入となった場合、保険料はいくらかなど、準備を進める必要があります。
都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を提示しています。
<一部抜粋>
○Aランク(31円引き上げ)
東京都 1,041→1,072
神奈川県 1,040→1,071
大阪府 992→1,023
愛知県 955→986
○Bランク(31円引き上げ)
静岡県 913→944
三重県 902→933
○Cランク(30円引き上げ)
岐阜県 880→910
○Dランク(30円引き上げ)
沖縄県・高知県 820→850
令和4年度の最低賃金額が発効となるのは10月ですが、ほとんど目安額通りに決まっています。
令和4年10月からは、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大も始まります。
現在の時給が、最低賃金以下になっていないか、パート社員が社会保険の加入対象になるのか、加入となった場合、保険料はいくらかなど、準備を進める必要があります。
posted by あさ at 11:54| 賃金