2024年02月19日

政府がまとめた少子化対策「こども未来戦略」

政府が令和5年12月22日に公表した、少子化対策をまとめた「こども未来戦略」の最初のページには〜「日本のラストチャンス」2030年に向けて〜と載っています。
 ”年間出生者数の推移を見ると、2000 年代に入るまでは 120 万人程度で推移していたが、その後急速に減少しており、減少した世代が 30 代を迎える 2030 年代に入ると若年人口は急減することが見込まれる”ため、”2030年代に入るまでが、こうした状況をを反転させることができるかどうか重要な分岐点”と述べています。
今回打ち出した対策が、有効に働くかどうかはわかりませんが、雇用関係の法改正等もこうした日本の状況の影響を大きく受けています。

育児休業の取得促進
・産後8週間以内に両親が共に14日以上の育児休業を取得した場合は、その期間の育児休業給付率を28日間を限度として現行の67%(手取り8割相当)から、80%(手取り10割相当)に引き上げ。2025年度施行予定。
育児期の柔軟な働き方の促進
・現在は子どもが3歳以降小学校就学前までの場合の措置がありませんが、育児・介護休業法で、柔軟な働き方を実現するため、@フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、Aテレワーク、B短時間勤務制度、C保育施設の設置運営等、D休暇から、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」)を創設。
・「育児時短就業給付(仮称)」を創設し、子どもが2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合、賃金の10%を支給。2025年度に施行予定。現在の高年齢雇用継続給付に近い内容になると思われます。
・所定外労働の制限(残業免除)は、現在は子どもが3歳になるまでですが、子どもが小学校就学前までに引上げ。
・子の看護休暇は、現在は子どもが小学校就学前までですが、子どもが小学校3年生修了時までに引上げ。休暇取得事由は、現在は負傷し、又は疾病にかかった子の世話又は疾病の予防を図るために必要な世話をするためですが、子どもの行事(入園式等)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように範囲を見直す。
多様な働き方と子育ての両立支援
・雇用保険の加入対象は、現在は週所定労働時間が20時間以上の労働者ですが、10時間以上20時間未満の労働者も失業給付や育児休業給付等を受給できるよう対象を拡大。2028年度施行予定。

その他、「年収の壁・支援強化パッケージ」として令和5年10月から実施している@キャリアアップ助成金のコースの新設A社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外などの制度の見直しに取り組むと載っています。

「こども未来戦略」の最後には、
1.こどもを生み、育てることを経済的理由であきらめない
2.身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てられる
3.どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心感を持てる
4.こどもを育てながら人生の幅を狭めず、夢を追いかけられる
と記されています。具体的な法改正内容について、今後も注目していきたいと思います。
posted by あさ at 09:37| 仕事と子育ての両立

2023年10月08日

愛知県「中小企業男性育児休業取得促進奨励金」

愛知県では、誰もが仕事と子育ての両立を実現できる職場環境整備を促すため、男性従業員が育児休業を取得した中小企業等に対して支給される「中小企業男性育児休業取得促進奨励金」 の受付が始まっています。
受付期間は、2023年9月4日から2024年3月31日までです。(*予算に達するまで)
@奨励金の概要
養育する子が2歳になるまでの間に、男性従業員が育児休業(産後パパ育休を含む)を通算14日以上取得し、当該従業員が原職等に復帰した場合に奨励金を支給する
(1事業者につき支給は1回限り)
A支給対象
ア 常時雇用する従業員数が300人以下であること
(資本金の規模は問わない)
イ 愛知県内に本社(主たる事務所)を有すること
ウ 雇用保険の適用事業所であること
エ 就業規則に育児休業制度を設けていること
オ 次に掲げる要件に該当する男性従業員を1人以上雇用していること 等
(ア)雇用保険の被保険者であること
(イ)養育する子が2歳になるまでの間に育児休業(産後パパ育休を含む)を通算14日以上取得していること
(ウ)当該育児休業について2023年4月1日以降に休業を開始していること
(エ)育児休業開始日の直前2か月以上雇用されており、県内の事業所に勤務していること
(オ)育児休業終了後、原職等に復帰し、2か月以上雇用されていること
B支給額
取得期間
14日以上28日未満  50万円
28日以上     100万円

従業員1000人超の企業は、育児休業等取得の状況を1年に1回公表することが義務づけられています。厚生労働省が発表した「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」(速報値)によると、従業員1,000人超企業の男性育休等取得率は46.2%、男性の育休等平均取得日数は46.5日となっています。
また同じく厚生労働省が発表した 「令和4年度雇用均等基本調査」の結果によると、育児休業取得者の割合は女性80.2%に対し男性17.13%となっています。

中小企業では男性の育児休業取得はなかなか進みませんが、愛知県が言っているように「男性が育児休業を取得しやすい職場環境づくりは、業務の効率化や企業のイメージアップ、人材の確保・定着につながります」。
中小零細企業では男性の育児休業については自社ではまだ取る文化がないという意識があるかもしれませんが、社会の流れを無視することはできません。
posted by あさ at 15:10| 仕事と子育ての両立

2021年12月18日

令和4年4月1日から改正育児介護休業法が施行されます。

令和4年4月1日から改正育児介護休業法が施行されます。
4月1日から施行されるのは、
1.育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
●育児休業を取得しやすい雇用環境の整備として以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
@育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
A育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
B自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
C自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
●妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置は、
周知事項
@育児休業・産後パパ育休に関する制度
A育児休業・産後パパ育休の申し出先
B育児休業給付に関すること
C労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
*産後パパ育休は、令和4年10月1日から対象
個別周知・意向確認の方法
@面談(オンライン面談も可)A書面交付BFAXC電子メール(BCは労働者が希望した場合のみ)等のいずれか
2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件が廃止されます。ただし、労使協定を締結した場合には、対象から除外することが可能です。

10月1日からは、以下が施行されます。
1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み『産後パパ育休』の創設
2.育児休業の分割取得
3.雇用保険の育児休業給付の規定の整備

また、令和4年4月1日からは、改正女性活躍推進法が施行され、一般事業主行動計画の策定や情報公表の義務が常時雇用労働者数301人以上から101人以上の事業主まで拡大されます。
育児介護休業法の対応と合わせて今年度中に対応が必要です。
posted by あさ at 20:21| 仕事と子育ての両立

2021年07月22日

男性版産休制度の創設はまだ先ですが。

「マイナビ2021年卒大学生のライフスタイル調査<働き方編 >」が2020年3月18に発表されています。

【TOPICS】
◆男子の「育児休業をとって積極的に子育てしたい」割合は5年連続増加し、調査開始以来初めて半数を超える。
◆結婚後「共働きを望む」割合は男子で初の5割超え。専業主婦志向の割合は、男女ともに減少。
◆女子が興味のある社会問題の1位は「少子化・働く女性支援」。欲しい子どもの平均人数は減少。                          (マイナビ ニュースリリースより)

厚生労働省が令和2年7月31日に公表した、「令和元年度 雇用均等基本調査」の結果では、男性の育児休業取得者の割合は前年度の6.16%から僅かに上がって7.48%でした。
最近の若い世代の考え方と現実とのギャップは大きく、この昨今の変化を経営者は十分理解する必要があります。
男性の育児休業取得促進のため子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みを創設(男性版産休制度)した改正育児・介護休業法の施行はまだ先ですが、若手人材の募集や定着を促す意味でも、育児休業を取得しやすい環境を整備しておくことは、重要となってきます。

<改正育児・介護休業法>
1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設:令和4年秋頃
子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組みを創設する。
@休業の申出期限については、原則休業の2週間前までとする。※現行の育児休業(1か月前)よりも短縮
A分割して取得できる回数は、2回とする。
B労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整した上で休業中に就業することを可能とする。
2.育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け:令和4年4月1日
@育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
A妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務付ける。
posted by あさ at 19:52| 仕事と子育ての両立

2021年06月04日

男性版産休制度

子ども・子育て支援拡充のための法律の改正がいくつか出ています。
<健康保険・厚生年金保険>令和4年10月1日
1.育児休業中の保険料免除要件の見直し
短期の育児休業の取得に対応して、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とすることとする。

育児休業期間中の保険料の免除は、「育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間」となっていますから、月末時点で育児休業を取得していないとその月は保険料免除の対象になりませんでしたが、月の途中でも2週間以上の育児休業を取得している場合は、保険料免除となります。ただし賞与の保険料は、1月を超える育児休業を取得していないと免除になりません。

<育児・介護休業法>
1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設:令和4年秋頃
子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組みを創設する。
@休業の申出期限については、原則休業の2週間前までとする。※現行の育児休業(1か月前)よりも短縮
A分割して取得できる回数は、2回とする。
B労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整した上で休業中に就業することを可能とする。
2.育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け:令和4年4月1日
@育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
A妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務付ける。

いわゆる「男性版産休制度」です。施行日はまだ未定ですが、令和4年4月1日からは、本人だけでなく配偶者が妊娠・出産をすることを会社に申し出た場合、妊娠した女性労働者本人、配偶者が妊娠した男性労働者どちらに対しても、育児休業等の制度を周知して休業の取得意向の確認をするための措置を講じなければいけません。
「出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため」が法律改正の趣旨です。まだまだ「男性は仕事、女性は家庭」という考え方が根強いですし、女性が仕事を続けたいと思っても、続けられるような環境が、社会、会社でも整っていないのが現状です。
法律改正を契機に子ども・子育てを支援していくことが、会社の経営にとってもプラスになると考え、具体的な対応について考えていく必要があります。
posted by あさ at 18:37| 仕事と子育ての両立