「パワハラ防止法」(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)は2019年5月29日に成立し、大企業では2020年6月1日から施行されていますが、2022年4月1日から中小企業も義務化されます。
職場における「パワーハラスメント」とは、
職場において行われる
@優越的な関係を背景とした言動であって、
A業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
B労働者の就業環境が害されるものであり、
@〜Bまでの要素を全て満たすものをいいます。
※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。
しかし、事業主など上の立場の人からすれば適正な指導だと思っていても、言われた下の立場の人は、パワハラだと感じることはあります。
また、以下の事項に努めることが、事業主・労働者の責務として法律上明確化されています。
【事業主の責務】
■職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないこと等これに起因する問題(以下「ハラスメント問題」という。)に対する労働者の関心と理解を深めること
■その雇用する労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行うこと
■事業主自身(法人の場合はその役員)がハラスメント問題に関する関心と理解を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
【労働者の責務】
■ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者(※)に対する言動に注意を払うこと
■事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること
※取引先等の他の事業主が雇用する労働者や、求職者も含まれます。
中小零細企業は、事業主自身が、熱心なあまり、無意識でハラスメントとなっていることがあるかもしれません。ハラスメント問題に関心と理解を深めずに法律で決まっているからと就業規則だけ改訂したりしても意味がありません。
厚生労働省では以下のサイトでも色々な情報を提供していますので、まずは職場におけるハラスメントの内容は何か、理解を深め、ハラスメントを行ってはならないという事業主の方針を明確化することから早急に始めましょう。
「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
2021年08月20日
「パワハラ防止法」2022年4月1日から中小企業も義務化!
posted by あさ at 20:03| ハラスメント
2019年12月05日
パワハラに該当する例、該当しない例とは?
厚生労働省から、令和元年10月21日に行われた「第20回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」で「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」が示され、公表されました。すでに平成24年3月15日に公表されている以下の職場のパワーハラスメントの6類型ごとに、典型的に職場のパワーハラスメントに該当し、又は該当しないと考えられる例が示されています。
<暴行・傷害(身体的な攻撃)>
(該当すると考えられる例)
・殴打、足蹴りを行うこと。
・怪我をしかねない物を投げつけること。
(該当しないと考えられる例)
・誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等により怪我をさせること。
<脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)>
(該当すると考えられる例)
・人格を否定するような発言をすること。(例えば、相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な発言をすることを含む。)
・業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
・他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
・相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。
(該当しないと考えられる例)
・遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して強く注意をすること。
・その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、強く注意をすること。
<隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)>
(該当すると考えられる例)
・自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
・一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。
(該当しないと考えられる例)
・新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に個室で研修等の教育を実施すること。
・処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させる前に、個室で必要な研修を受けさせること。
<業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)>
(該当すると考えられる例)
・長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
・新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
・労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。
(該当しないと考えられる例)
・労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。
・業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。
<業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)>
(該当すると考えられる例)
・管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
・気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。
(該当しないと考えられる例)
・経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること。
・労働者の能力に応じて、業務内容や業務量を軽減すること。
<私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)>
(該当すると考えられる例)
・労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
・労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。
(該当しないと考えられる例)
・労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。
・労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。
ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、例は限定列挙ではないことに留意が必要と記されています。
またこの素案のはじめには、職場におけるパワーハラスメントとは、『職場において行われる@優越的な関係を背景とした言動であって、A業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、B労働者の就業環境が害されるものであり、@からBまでの要素を全て満たすもの。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。』
と示されています。この素案を受けて日本労働弁護団からは、「パワハラ助長の指針案の抜本的修正を求める緊急声明」が出されています。抜粋すると、
『あたかも労働者の行動の問題性が高ければ、指導・叱責がパワハラに該当しなくなるかのような誤解を与える指針の表現は、誤りであり、削除すべきである。むしろ、労働者に問題行動があったとしても、業務上必要かつ相当な範囲を超えた指導等はパワハラに該当することを指針に明記すべきである。』
上司は指導のつもりでも部下はパワハラと感じる。受け取り方は個人により様々です。指導する側も旧態依然とした厳しい指導でなく、コミュニケーションを取りながら個々に合わせた指導を行い、何が業務上必要かつ相当な範囲を超えた指導にあたるか、社内で十分話し合い、何よりもパワハラを絶対許さないという経営者のメッセージが必要です。
厚生労働省のハラスメント対策の総合サイト「明るい職場応援団」には、動画で学ぶハラスメント講座として基本6類型の動画がアップされています。大変面白い(と言っては語弊があるかもしれませんが)ので、参考にするといいと思います。
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
<暴行・傷害(身体的な攻撃)>
(該当すると考えられる例)
・殴打、足蹴りを行うこと。
・怪我をしかねない物を投げつけること。
(該当しないと考えられる例)
・誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等により怪我をさせること。
<脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)>
(該当すると考えられる例)
・人格を否定するような発言をすること。(例えば、相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な発言をすることを含む。)
・業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
・他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
・相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。
(該当しないと考えられる例)
・遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して強く注意をすること。
・その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、強く注意をすること。
<隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)>
(該当すると考えられる例)
・自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
・一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。
(該当しないと考えられる例)
・新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に個室で研修等の教育を実施すること。
・処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させる前に、個室で必要な研修を受けさせること。
<業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)>
(該当すると考えられる例)
・長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
・新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
・労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。
(該当しないと考えられる例)
・労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。
・業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。
<業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)>
(該当すると考えられる例)
・管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
・気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。
(該当しないと考えられる例)
・経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること。
・労働者の能力に応じて、業務内容や業務量を軽減すること。
<私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)>
(該当すると考えられる例)
・労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
・労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。
(該当しないと考えられる例)
・労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。
・労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。
ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、例は限定列挙ではないことに留意が必要と記されています。
またこの素案のはじめには、職場におけるパワーハラスメントとは、『職場において行われる@優越的な関係を背景とした言動であって、A業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、B労働者の就業環境が害されるものであり、@からBまでの要素を全て満たすもの。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。』
と示されています。この素案を受けて日本労働弁護団からは、「パワハラ助長の指針案の抜本的修正を求める緊急声明」が出されています。抜粋すると、
『あたかも労働者の行動の問題性が高ければ、指導・叱責がパワハラに該当しなくなるかのような誤解を与える指針の表現は、誤りであり、削除すべきである。むしろ、労働者に問題行動があったとしても、業務上必要かつ相当な範囲を超えた指導等はパワハラに該当することを指針に明記すべきである。』
上司は指導のつもりでも部下はパワハラと感じる。受け取り方は個人により様々です。指導する側も旧態依然とした厳しい指導でなく、コミュニケーションを取りながら個々に合わせた指導を行い、何が業務上必要かつ相当な範囲を超えた指導にあたるか、社内で十分話し合い、何よりもパワハラを絶対許さないという経営者のメッセージが必要です。
厚生労働省のハラスメント対策の総合サイト「明るい職場応援団」には、動画で学ぶハラスメント講座として基本6類型の動画がアップされています。大変面白い(と言っては語弊があるかもしれませんが)ので、参考にするといいと思います。
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
posted by あさ at 20:41| ハラスメント