令和元年版労働経済白書では、人手不足下での「働き方」について、「働きやすさ」と「働きがい」の観点から分析が行われています。
白書の骨子には、以下のように記されています。
●安心して快適に働ける「働きやすい」職場環境は、「働きがい」の前提であり基盤。
⇒ 働き方改革による「働きやすさ」の向上は、離職率や定着率を改善させる可能性あり。
●「働きがい」の向上により、定着率や離職率に加え、働く方のストレス・疲労感、労働生 産性、顧客満足度等が改善する可能性あり。
●正社員については、若い社員、下位役職者の「働きがい」が低い傾向。
⇒「働きがい」向上には、コミュニケーションの円滑化、労働時間の短縮や働き方の柔軟化、裁量権の拡大、将来のキャリア展望の明確化などが有効な可能性あり。
日本生産性本部から毎年3月に「新入社員の特徴とタイプ」が発表されていましたが、平成29年度の「キャラクター捕獲ゲーム型」をもって終了しました。
新入社員「働くことの意識」調査は、毎年6〜7月に発表されています。平成31年度は、
●「働く目的」では、過去最高だった一昨年(42.6%)から2年連続で減少してはいるものの 「楽しい生活をしたい」が最も多かった(昨年度41.1%→今年度39.6%)。
また、「経済的に豊かな生活を送りたい」も高い水準を維持(30.4%→28.2%)している。
一方、昨年過去最低を更新した「自分の能力をためす」はわずかに増え(10.0%→10.5%)、一時期増えていた「社会に役立つ」は横ばい(9.2%→9.3%)が続いている。
●「デートか残業か」では、「残業」が減り(68.5%→63.7%)、「デート」が増え(30.9%→36.0%)と、「デート派」が3人に1人を超えた。
●「人並み以上に働きたいか」では、「人並みで十分」が昨年度に続き過去最高を更新(61.6%→63.5%)し、過去最低となった「人並み以上に働きたい」(31.3%→29.0%)の倍以上の回答割合だった。その差も過去最高を更新した(30.3ポイント→34.5ポイント)
どの企業も人手不足で、募集してもなかなか応募がない。せっかく入社してもすぐに辞めてしまうという声を多く聞きます。経営者や管理職が、今まで自分たちが経験してきた働き方への誇りと自信から、それが本来あるべき姿という思いが抜けず、若い社員との間でギャップが大きくなっていることも原因の一つだと思います。このような調査報告にも目を向け、現状を把握、理解し、自社でどのようにしていけばいいか具体的に検討し、対応することが必要です。