大企業も中小企業も全ての規模の事業所で2019年4月から「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられています。今までは、労働者が自ら申し出なければ、有休を取得できませんでした。言い換えると労働者からの申し出がなければ、有休を与えなくても良かったのです。それが、使用者が労働者の希望を聴き、希望を踏まえて取得時季を指定し、年5日は取得させなければいけないと改正されました。たとえ労働者からの申し出がなくても使用者から働き掛けて有休を取らせなければいけないのです。
ほとんどの社員が有休を消化しているような会社は問題ありませんが、多くの企業でとまどいの声を聞きます。
そもそも有休を何日付与しなければいけないのか管理自体を全くしていない中小企業も多いと思います。「人出不足で有休なんか取られたら業務が停滞する」という声も多く聞きます。しかし、日本生産性本部が毎年発表している「労働生産性の国際比較 2018」によると、日本の労働生産性は、OECD加盟36カ国中20位、主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いています。長時間働くことが、生産性の向上につながっておらず、当然、社員の満足にもつながっていないのが現状です。
今回の改正を否定的にとらえるのではなく、いい機会とし、業務を効率化し、有休を積極的に取れるようにして、社員のやりがいの向上につなげるよう前向きにとらえる必要があるのではないでしょうか。
有休の確実な取得方法として以前からある年次有給休暇の計画的付与制度は、お盆や年末年始の会社休日の前後に全社的に有休を計画的に付与し、大型連休にしたり、個人ごとに誕生日などアニバーサリー休暇制度を設けたりする方法です。その場合は、労使協定の締結が必要となります。また、今回の改正で有休の取得時季を会社が指定する場合は、就業規則に記載する必要があります。
使用者として気になるのは、罰則の規定だと思います。
・年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、30万円以下の罰金
・使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合、30万円以下の罰金
・労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われますが、労働基準監督署の監督指導においては、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています(「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」厚生労働省 より)、とされていますので、まずは、自社の労働者ごとの付与日数、休みの状況を確認することから始め、自社に合った方法を模索していきましょう。
2019年06月07日
年5日の有休取得義務は、会社にとってマイナス?
posted by あさ at 22:37| 有給休暇
2018年10月22日
有給休暇年5日取得義務化!
◯一般社団法人日本能率協会が2017年5月〜2018年7月に行った管理者向けセミナー参加者を対象に、「働き方改革」に対する意識調査を実施しています。それによると
働き方改革で実現したいことで多かった回答は、
「業務改善・生産性向上に関すること」
「休暇に関すること」
「残業削減に関すること」
◯また、労働政策研究・研修機構(JILPT)が行った、「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると
従業員にとって必要性が高いと思う制度・施策
「人間ドック受診の補助」
「慶弔休暇制度」
「家賃補助や住宅手当の支給」
「病気休暇制度(有給以外)」
「病気休職制度」
「リフレッシュ休暇制度」
「有給休暇の日数の上乗せ(GW、夏期特別休暇など)」など
主に健康管理や休暇制度に関するものが多くありました。
その他、「治療と仕事の両立支援策」「法定を上回る育児休業・短時間制度」など「両立支援」「労働時間」に関連するものが多く挙がっています。
上記2つの調査結果からも有給休暇等休暇に関する必要性や要望が多いことがわかります。
2019年4月から有給休暇の取得義務化(有給休暇が10日以上ある労働者に年5日の取得を義務化)が企業規模にかかわらず施行されます。
エクスペディア・ジャパンの2017年の調査によると、日本人の有休消化率は50%で、調査を行った30ヶ国中2年連続で最下位となっています。日本人が有給休暇を取らない理由は、
第1位「緊急時のためにとっておく」
第2位「人手不足」
第3位「職場の同僚が休んでいない」
これを見てどう思うでしょうか?”消化率50%なんて高い!”と思われた会社も多いのではないでしょうか。 1年間で付与される有休日数は、最高で20日です。年5日だと25%の消化率です。有給休暇の時効は2年ですから全く使用していなくて最高40日残っているとすると12.5%にしかなりません。
年5日というのは、有休取得率世界最下位を脱する日数ではないことがわかります。
”消化率50%なんて高い!”と思った会社にとっては、年5日でも高いハードルになります。労使協定を結んで全社一斉に有給休暇の計画付与をする方法、今回の改正で言われている個別に要望を確認して取得させる方法、どちらが自社に適した有休取得方法なのか早急に検討しないと実現が難しいでしょう。
それと同時に現在5日以上取れている場合でも一部の社員に偏っていないか、会社として取得しやすいように環境を整備しているか等再度検証し、年5日取得義務化に向けての準備が必要となります。
また、この調査によると、転職活動で重要視することの第1位は、「より多くの有休が取得可能」だそうです。
事業主は、従来の考え方や慣習は一度取り払って、従業員がより働きやすい環境は何か?十分留意する必要があります。
*調査結果は、以下で確認できます。
https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2017/
働き方改革で実現したいことで多かった回答は、
「業務改善・生産性向上に関すること」
「休暇に関すること」
「残業削減に関すること」
◯また、労働政策研究・研修機構(JILPT)が行った、「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると
従業員にとって必要性が高いと思う制度・施策
「人間ドック受診の補助」
「慶弔休暇制度」
「家賃補助や住宅手当の支給」
「病気休暇制度(有給以外)」
「病気休職制度」
「リフレッシュ休暇制度」
「有給休暇の日数の上乗せ(GW、夏期特別休暇など)」など
主に健康管理や休暇制度に関するものが多くありました。
その他、「治療と仕事の両立支援策」「法定を上回る育児休業・短時間制度」など「両立支援」「労働時間」に関連するものが多く挙がっています。
上記2つの調査結果からも有給休暇等休暇に関する必要性や要望が多いことがわかります。
2019年4月から有給休暇の取得義務化(有給休暇が10日以上ある労働者に年5日の取得を義務化)が企業規模にかかわらず施行されます。
エクスペディア・ジャパンの2017年の調査によると、日本人の有休消化率は50%で、調査を行った30ヶ国中2年連続で最下位となっています。日本人が有給休暇を取らない理由は、
第1位「緊急時のためにとっておく」
第2位「人手不足」
第3位「職場の同僚が休んでいない」
これを見てどう思うでしょうか?”消化率50%なんて高い!”と思われた会社も多いのではないでしょうか。 1年間で付与される有休日数は、最高で20日です。年5日だと25%の消化率です。有給休暇の時効は2年ですから全く使用していなくて最高40日残っているとすると12.5%にしかなりません。
年5日というのは、有休取得率世界最下位を脱する日数ではないことがわかります。
”消化率50%なんて高い!”と思った会社にとっては、年5日でも高いハードルになります。労使協定を結んで全社一斉に有給休暇の計画付与をする方法、今回の改正で言われている個別に要望を確認して取得させる方法、どちらが自社に適した有休取得方法なのか早急に検討しないと実現が難しいでしょう。
それと同時に現在5日以上取れている場合でも一部の社員に偏っていないか、会社として取得しやすいように環境を整備しているか等再度検証し、年5日取得義務化に向けての準備が必要となります。
また、この調査によると、転職活動で重要視することの第1位は、「より多くの有休が取得可能」だそうです。
事業主は、従来の考え方や慣習は一度取り払って、従業員がより働きやすい環境は何か?十分留意する必要があります。
*調査結果は、以下で確認できます。
https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2017/
posted by あさ at 11:35| 有給休暇