2017年10月03日

労働基準監督署の「臨検監督」

労働基準監督署は、どのような流れで会社に訪問して指導をするのでしょうか?
「臨検監督」は、計画的に対象事業場を選定したり、労働者からの申告や、労働災害の発生を契機として、事業場へ訪問して、事業場への立入調査を行います。労働条件等について事業主など責任者から聴取をしたり、帳簿を確認したりします。(「労働基準監督署の役割」-厚生労働省-より)必要があれば労働者から聴取することもあります。何も法違反がなければいいのですが、法違反が認められると労働基準監督官がその場で「是正勧告書」「指導票」を作成して、是正勧告書による違反事項については是正期日までに、指導票については改善の状況を期日までに「是正報告書」によって報告をしないといけません。

厚生労働省が毎年発表している「労働基準監督年報」によると、(直近の発表は平成27年)
・監督件数169,236件の内
 定期監督等(計画的な監督.労働災害の発生を契機とした監督)
 133,116件
 申告監督(労働者等からの申告)
 22,312件
・定期監督の内 
 何らかの法違反があったもの 92,034件 
 違反率 69.1%
(法違反の内容)
労働時間 30.0%
安全基準 27.7%
健康診断 21.9%
割増賃金 21.1%
労働条件の明示 16.9%
就業規則 11.6%
・申告監督 
 申告監督を実施した件数は、申告取扱総数の73.4% 
 取り扱った申告件数 30,381件
 (前年繰越4,119件、新規受理26,280件)
 賃金不払 23,022件 
新規受理件数の85.1%
 解雇 4,017件
新規受理件数の15.3%

監督署の臨検監督は、労働者からの申告より定期的なものが多く、何らかの法違反がある事業所が7割近くあることがわかります。
主な違反事項は
@労働時間 
 36協定の締結・届出をしていない
 上限時間を超えて時間外労働をさせている
A安全基準
 機械や設備などが安全基準を満たしていない
B割増賃金
 時間外労働時間に対して割増賃金を正しく支払っていない
 未払いである。

これらの問題は、監督署対策のために何とかするわけではありません。労働者が安心して、意欲を持って働ける会社にするためには、労働条件や労働環境を整備することは必須です。労働者の安全と心と体の健康が守られなければ会社の発展もありません。労働基準法や安全衛生についての正しい知識を持って適切に対応することは、中小零細企業では専任の担当者も置けず、難しい場合もあるでしょう。そのために、あさ社労士事務所は、経営者をバックアップして共に悩みを解決していきます。
posted by あさ at 00:03| 労働基準監督署