その中で、厚生労働省は、働く高齢者の「在職老齢年金」制度について、令和8年4月から見直す方向で検討に入っています。
現在65歳以上の働く人(*厚生年金に加入して働いている人)は、賃金と厚生年金の合計が、50万円を超えると、原則超えた部分の1/2の年金額が停止されています。賃金額によっては、年金が全額停止になることもあります。
この場合の賃金は、賞与を含めた年収の1/12と考えてもらえばいいです。年金額は、65歳以降は基礎年金が含まれているので、基礎年金を除いた厚生年金部分だけです。
この上限を50万円から62万円に引き上げる方向です。年金が停止されることは、働く高齢者の意欲を削ぎ、働き控えに繋がっているという考えからですが、実際は、どうなんでしょう?
令和6年賃金構造基本統計調査速報によると、65〜69歳の月間所定内給与額の平均は、275,500円(*第2表 年齢階級、学歴、企業規模別平均月間所定内給与額)。厚生労働省から発表された一人あたりの平均年金額は、月額170,223円(*男性・厚生年金期間中心。第19回社会保障審議会年金部会資料)。
平均額で見ると、賃金と年金額を合計して50万円を超えていません。65歳以降に年金が停止になっているのは、16%くらいだそうです。中小企業では65歳以上は嘱託社員となっている例が多いと思いますが、その社員に影響があるでしょうか?上限が62万円に引き上がることによって、停止されなくなる人は、中小企業では、それほど多くないと思われます。
今後も色々な改正案が、新聞等に載ってくると思いますが、どのように変わるか、自分自身、また会社に影響があるのか、見出しだけに踊らされることなく、内容をよく理解する必要があります。
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