ほとんどの社員が有休を消化しているような会社は問題ありませんが、多くの企業でとまどいの声を聞きます。
そもそも有休を何日付与しなければいけないのか管理自体を全くしていない中小企業も多いと思います。「人出不足で有休なんか取られたら業務が停滞する」という声も多く聞きます。しかし、日本生産性本部が毎年発表している「労働生産性の国際比較 2018」によると、日本の労働生産性は、OECD加盟36カ国中20位、主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いています。長時間働くことが、生産性の向上につながっておらず、当然、社員の満足にもつながっていないのが現状です。
今回の改正を否定的にとらえるのではなく、いい機会とし、業務を効率化し、有休を積極的に取れるようにして、社員のやりがいの向上につなげるよう前向きにとらえる必要があるのではないでしょうか。
有休の確実な取得方法として以前からある年次有給休暇の計画的付与制度は、お盆や年末年始の会社休日の前後に全社的に有休を計画的に付与し、大型連休にしたり、個人ごとに誕生日などアニバーサリー休暇制度を設けたりする方法です。その場合は、労使協定の締結が必要となります。また、今回の改正で有休の取得時季を会社が指定する場合は、就業規則に記載する必要があります。
使用者として気になるのは、罰則の規定だと思います。
・年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、30万円以下の罰金
・使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合、30万円以下の罰金
・労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われますが、労働基準監督署の監督指導においては、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています(「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」厚生労働省 より)、とされていますので、まずは、自社の労働者ごとの付与日数、休みの状況を確認することから始め、自社に合った方法を模索していきましょう。
【有給休暇の最新記事】