2019年04月02日

「長時間労働に繋がる商慣行」中小企業庁調査より

平成31年3月4日に中小企業庁から「長時間労働に繋がる商慣行に関するWEB調査結果概要」が発表されました。
中小企業庁のこれまでの調査において、長時間労働に繋がる商慣行として「繁忙期対応」と「短納期対応」が挙げられていることから、その背景にある実態の把握を目的に調査を実施したそうです。
その中で特に印象に残ったものを抜粋すると、

◯繁忙期の発生要因(取引上の課題)
課題1.問題のある受発注方法の常態化
[企業の生声]
・小売業の「売り切れ=損失=メーカーの責任」という考え方が強く、即時対応が常態化。(食料品製造業)
・親事業者の働き方改革実施により年末年始に発注が集中したため、三が日も操業した。今春の10連休の対応が心配である。(印刷産業)
・大手小売店(ホームセンター・ドラッグストア等)は、各社独自の受発注サイクルが規定されており、そのタイミングで確実な納品ができないと取引が継続できなくなる。(卸売業)
課題2.年末・年度末集中
[企業の生声]
・国は平準化を推進していると言うが、実際は自治体等の発注は年度後半に偏り繁忙期となり、地域での発注の平準化が必要。(技術サービス産業)
・年末・年度末に竣工する物件が多い。(建設業)
・官公庁から測量・調査・設計等の業務を受注しているが、6月に受注しても発注者側の工程が不明確なため、11月ぐらいまで業務に取り掛かれない。(技術サービス産業)

◯短期期受注の発生要因(取引上の課題)
課題1.納期のしわ寄せ
[企業の生声]
・取引先の大企業の時短対応のため、丸投げが増えた。建設業は、工程遅れを下請が取り戻す構造。元請けは休むが下請は責任施行といわれやることが増えた。(建設業)
・顧客満足を優先で取引先の大企業が短納期を受けるため、こちらも短納期にならざるをえない。繁忙期であっても通常期より短い納期依頼が平気である。(素形材産業)
・装置の仕様決めが遅れても納期が変わらない。(半導体・半導体製造装置産業)
・取引先の大企業が残業を減らすために、下請の納期が厳しくなっている。(機械製造業)
課題2.受発注方法(多頻度配送・在庫負担・即日納入)
[企業の生声]
・大手企業がリスクを負わないため、在庫を持たず、数量がある程度決まってから発注。発注後は早期の納品を迫られる。また予測数量が少なかった場合は自社の在庫負担となる。(食料品製造業)
・調剤薬局に一日多数回配送(4〜5回)を求められる。配送先への配送コストオンは出来ず、値引き要求が恒常的に求められる。(卸売業)
・前注文なしに必要なものを必要な時にもってこいという商慣習が蔓延しており、取引先もやられているからと、当社に強要してくる(紙・紙加工品産業)

◯繁忙期対応に伴う上昇コストの負担状況
・繁忙期の労務時間増加に伴う人件費上昇などのコスト負担については、自社で負担している企業割合が99%

◯短納期受注対応に伴う上昇コストの負担状況
・短納期受注による労務時間増加に伴う人件費上昇などのコスト負担については、自社で負担している企業の割合が99%

この調査からは、大企業の下請けも多い中小企業いおいて、大企業の働き方改革実現の影響を受けている実態を感じます。
2019年4月から施行が始まる働き方改革関連法の中小企業の現場での遵守は大変厳しいものがあると思います。
それでも労働者からも顧客からも社会からも必要とされ、選ばれる企業になるためには、経営構造も変化させながら、こういった調査結果の生の声も参考にしながら検討し進めていくしかないでしょう。
posted by あさ at 20:12| 労働時間