2025年06月05日

令和7年6月1日から熱中症対策の強化が義務づけられました

令和7年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、職場における熱中症対策の強化について、以下の措置が事業主に義務づけられました。
1 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
@「熱中症の自覚症状がある作業者」
A「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
2 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
@作業からの離脱
A身体の冷却
B必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
C事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること

※ WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの
 
従来から熱中症対策は必要でしたが、会社の義務として明確化されたということです。
熱中症による死亡災害は、97%が初期症状の放置・対応の遅れのため死亡に至っています。
熱中症の初期症状には、
「何となく体調が悪い」「すぐに疲れる」「手足がつる」「立ちくらみ・めまい」「吐き気」「汗のかき方がおかしい」「イライラしている」「フラフラしている」「呼びかけに反応しない」「ボーとしてる」
このような初期症状をお互いに知っておくのも重要です。

今年も猛暑が想定されます。以下のパンフレットを参考に、職場での具体的な対策を決めていきましょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf
posted by あさ at 20:57| 安全衛生

2025年05月13日

雇用保険法改正ー自己都合離職の給付制限短縮など

新年度が始まりました。令和7年4月から育児介護休業法の改正(子の看護休暇の見直し、残業免除の対象拡大、介護休暇を取得できる労働者の要件緩和、介護離職防止のための個別の周知・意向確認等、など)の他にも、雇用保険法の改正もあります。

令和7年4月1日施行のおもなもの
●自己の都合により離職した場合の給付制限期間の短縮
2ヶ月または3ヶ月 ⇒ 1ヶ月〜3ヶ月
●自己都合退職者が、教育訓練等を自ら受けた場合の給付制限解除
令和7年4月以降にリ・スキングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除。この場合の教育訓練は、教育訓練給付金の対象となる教育訓練、公共職業訓練等。
●「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」の創設
○出生後休業支援給付
子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引上げ
○育児時短就業給付
被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合、時短勤務中に支払われた賃金額の10%相当額を支給
●高年齢雇用継続給付の給付率の引き下げ
令和7年4月1日以降に60歳に達した人は、各月に支払われた賃金の10%(←15%)を限度として支給

離職後のことについては、退職した人から直接ハローワークに問い合わせてもらうといいでしょう。
「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」については、対象者がいないか、確認してください。
posted by あさ at 10:43| 雇用保険

2025年04月06日

4月の新入社員のマイナ保険証はどうなるの?

マイナンバーカードを保険証利用できるように登録した「マイナ保険証」を利用している社員も増えてきたと思います。2025年3月24日から「マイナ免許証」も始まりました。

健康保険の取得手続きは、4月は新入社員が多いため、時間がかかる傾向にあります。今までだと、保険証を会社から渡すまで、親の扶養に入っていた保険証は利用しないようにと説明していたと思いますが、マイナ保険証の場合、どのように説明すればいいのでしょうか?

・マイナ保険証の登録をしている場合は、加入する健康保険が変わっても、再度の登録は不要です。
・登録情報の更新は必要なので、新しい健康保険の手続きが完了するまで待ちます。
・会社から「資格情報のお知らせ」をもらったら手続きは完了しています。その前に確認したい場合は、自身でマイナポータルから確認します。
・マイナ保険証の登録をしていない場合は、会社から「資格確認書」をもらったら、医療機関で保険証のように使用できます。

手続き中に医療機関にかかる場合は、保険証が切り替わることを伝えて、医療機関からの指示に合わせて対応すればいいでしょう。
また、マイナ保険証の登録をしていても「資格確認書」の発行を希望することはできます。

4月から社会人になる新入社員には、給与から控除される所得税、社会保険料の仕組み等も説明し、税や社会保障に興味を持ち、理解できるようにしていきましょう。
posted by あさ at 20:49| 社会保険

2025年03月07日

3月から協会けんぽの保険料率が変わります

令和7年3月分からの各県の協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率が決定しました。
保険料率が一番高いのは、佐賀県で10.78%、一番低いのは、福島県で9.62%、全国平均10.00%となっています。
東海三県では、
愛知県 10.03%(←10.02%)
岐阜県 9.93%(←9.91%)
三重県 9.99%(←9.94%)
介護保険料率は、1.59%(←1.6%)になりましたので、40歳から64歳までの人は、
愛知県 11.62%(変更なし)
岐阜県 11.52%(←11.51%)
三重県 11.58%(←11.54%)
3月分の保険料は、4月に支払う給与から控除しますが、会社によっては、当月控除になっていることもあると思いますので、給与計算の時に注意しましょう。
 
また、令和7年4月から雇用保険料率も変更になります。(0.1%引き下げ)
一般の事業      
1.45%(労働者0.55%・会社0.9%)
建設の事業
1.75%(労働者0.65%・会社1.1%)
農林水産・清酒製造の事業
1.62%(労働者0.65%・会社1.0%)
雇用保険料は、支給日関係なく、4月に発生する給与から変更になります。
例:4/1〜4/30までの4月分を5/25に支給 4月分から変更
  3/21〜4/20までの4月分を4/30に支給 4月分から変更
労働保険料の年度更新の時に4月から翌3月までの賃金集計をすると思いますので、その集計月と同じと考えてください。
特に雇用保険料率は下がりますので、給与から控除する保険料を間違えると、社員から引きすぎることになります。
十分注意してください。
posted by あさ at 20:14| 社会保険

2025年02月08日

令和7年度 年金制度改正の方向(65歳以上の在職者)

令和7年度は、5年に一度の年金制度改正の年です。新聞紙上でも、年金改正について大きく掲載されることも多くなってきました。
その中で、厚生労働省は、働く高齢者の「在職老齢年金」制度について、令和8年4月から見直す方向で検討に入っています。
現在65歳以上の働く人(*厚生年金に加入して働いている人)は、賃金と厚生年金の合計が、50万円を超えると、原則超えた部分の1/2の年金額が停止されています。賃金額によっては、年金が全額停止になることもあります。
この場合の賃金は、賞与を含めた年収の1/12と考えてもらえばいいです。年金額は、65歳以降は基礎年金が含まれているので、基礎年金を除いた厚生年金部分だけです。
この上限を50万円から62万円に引き上げる方向です。年金が停止されることは、働く高齢者の意欲を削ぎ、働き控えに繋がっているという考えからですが、実際は、どうなんでしょう?
令和6年賃金構造基本統計調査速報によると、65〜69歳の月間所定内給与額の平均は、275,500円(*第2表 年齢階級、学歴、企業規模別平均月間所定内給与額)。厚生労働省から発表された一人あたりの平均年金額は、月額170,223円(*男性・厚生年金期間中心。第19回社会保障審議会年金部会資料)。
平均額で見ると、賃金と年金額を合計して50万円を超えていません。65歳以降に年金が停止になっているのは、16%くらいだそうです。中小企業では65歳以上は嘱託社員となっている例が多いと思いますが、その社員に影響があるでしょうか?上限が62万円に引き上がることによって、停止されなくなる人は、中小企業では、それほど多くないと思われます。

今後も色々な改正案が、新聞等に載ってくると思いますが、どのように変わるか、自分自身、また会社に影響があるのか、見出しだけに踊らされることなく、内容をよく理解する必要があります。
posted by あさ at 13:24| 年金